ヤミヌケのすべて
この記事の概要
この記事は、私のヤミヌケの知識や考察を全て詰め込んだヤミヌケの所謂バイブルを目指したものです。構築記事ではありません。ヤミヌケや取り巻きの技構成、努力値についてそれぞれの仮想的、利点や立ち回り考察などを初心者からヤミヌケに興味をもった高レートの方まで、全ての方を対象に書いていきます。そのため非常に文字数が多くなっていますが、興味をもった項だけでも読んでいただければ幸いです。なお、私の偏見に基づいた記事となっているので、考え方に差異が生じるかもしれません。一つの考えとして捉えてください。何か疑問があれば @bomber_poke までどうぞ。
追記:初心者向けヤミヌケQRパーティ作ったので興味ある人はこちらで試してみてください。
自己紹介
簡単な自己紹介をさせてもらうと、私はS9、S11、S12と3シーズンに渡ってヤミヌケを使用し、それぞれ最高2034、最高2009、最高2065という結果を残しています。構築記事はS9はこちら、S11はこちら、S12はこちらです。なお、ボイスロイドを使った動画投稿もしているので、興味のある方はリンク先から見て頂けると幸いです。
ヤミヌケとは
ヌケニンの弱点であるステルスロックを、特性マジックミラーのメガヤミラミでカバーし、本来受けループが苦手とする相手で崩そうとしてくる相手をヌケニンで詰ませてeasywinしよう。というコンセプトの構築です。本格的に使われ出したのは七世代に入ってからで、S3にシーモアさんがこの構築この構築で最終8,9位という結果を残し、広く知られるようになりました。
ヤミヌケの利点と欠点
利点
- 本来受けループで対応できない相手に対応できる
- 見せ合い段階で有利を取れる構築が多い
- 受け回し選出をする際にもステロを牽制できる
欠点
- 選出択になりやすい
- ヌケニンが役割破壊されやすい
- 構築が低速で固まりやすい
- (時間がかかる)
利点
- 本来受けループで対応できない相手に対応できる
例えば、などの受けループを使っていると厳しいポケモンをヌケニンで簡単に詰ますことができます。これらに受けループ対策を一任している構築に簡単に崩されないどころか、構築次第ではむしろ見せ合い段階で有利になります。
- 見せ合い段階で有利を取れる構築が多い
例えばなどの@1(大体ドヒドイデ)で対応できる相手を簡単に詰ますことができます。また、補完によく採用されるも詰ませ性能が高い並びなので、構築単位で詰ませ性能が非常に高く、見せ合い段階で有利な構築が多いです。
- 受け回し選出をする際にもステロを牽制できる
ラキドヒドムドーの弱点としてステロ+ボルトチェンジの削りがあげられます。しかし、メガヤミラミのマジックミラーのおかげで見せ合い段階からステロ持ちを牽制できます。簡単にステロを撒かせないことにより、釣り出しなどによる強引な削りをくらいにくくできます。
欠点
- 選出択になりやすい
ヌケニンが刺さっているがステロ撒きがいる構築には、
の3パターンが考えられます。それぞれ相手のしてくる選出により有利不利があるので、じゃんけんのような選出択をする必要がある場合が多いです。
- ヌケニンが役割破壊されやすい
不意の毒やめざパ、ステルスロックなどにより、ヌケニンは簡単に有利不利が変わってしまいます。そのため、刺さっている構築相手でも、ヌケニンの役割破壊をケアするか切る必要があります。
- 構築が低速で固まりやすい
後述しますが、ヤミヌケの基本はヤミヌケドヒド、鋼飛行、特殊受け@1です。そのため、ヤミヌケの数値の低さも相まって急所や追加効果による負け筋が生まれやすいです。
- 時間がかかる
構築が低火力で固まりやすく、突破方法がPP枯らしに依存するポケモンが多いため、1戦の時間が長くなりがちです。対戦数を他の構築に比べてこなしづらいため、上振れを狙いづらいです。
ヤミヌケの並びについて
- 考え方編
ここからは抽象的な話ではなく、並び、調整や技構成などの具体的な話をしていきたいと思います。
ヤミヌケの構築の基本は“詰ませること”です。そのため、補完枠に求められる要素は
- 役割対象への安定感や十分な回復ソース
- 3匹単位でのシナジーの高さ=選出幅の広さ
- 役割集中のされにくさ
です。その条件を満たすように組んでいくと、ヤミラミヌケニンに加えて、ドヒドイデまではほぼ確定で、補完枠として鋼飛行(ムドーorテッカグヤ)、特殊受け、自由枠という並びが基本になってきます。今回はその並びのヤミヌケについて書いていきたいと思います。それぞれの採用理由、役割対象、技や調整の候補などを初心者でも分かるようにリンク先に記載します。非常に文章量が多くなるので、単体考察編はヤミヌケの構築について理解がある方は飛ばしてもらっても構いません。
- 単体考察編
リンク先に単体考察記事を書いているので、興味がある記事があれば読んでいってください。一つの記事は約1500~4500文字です。
基本枠
・ヤミラミ
・ヌケニン
鋼飛行枠
特殊受け枠
立ち回りについて
-
ヤミヌケ編
基本的にはヤミヌケドヒドの選出が基本選出になります。ドヒドイデではなくエアームドを出したくなる構築もありますが、そういう構築は大抵、構築で不足した炎打点を補うためにボーマンダが両刀だったり、レヒレなどのヌケニンの役割対象がめざ炎を持っていたりするので、ヤミヌケ選出の補完はラッキーやドヒドイデなど炎を受けられるようにするべきです。
先発は余程のことがなければヤミラミを出すべきだと言えます。ヌケニンはステロを撒かれた瞬間に瀕死同然の状態となってしまうので多少強引にでもヤミラミをメガ進化することを優先させます。メガヤミラミはそれなりの耐久はあるので基本的には守るがなくても等倍相手には物理は鬼火、特殊は自己再生を選択することでメガ進化することができます(無論守るがあることに超したことはありませんが)。ただミミッキュやバシャーモといった守るに合わせて攻撃されたり積まれたりすると手がつけられなくなる相手は少し厄介です。私はバシャーモ相手は先発に出す≒ヤミラミと対面させにきたと考え、基本剣舞読みでイカサマを選択し、残ったHPはフレドラの反動やドヒドのトーチカ、ヌケニンの影打ちで縛りにいく動きをしていました。ミミッキュに関してはHBだと鬼火込みミミZを非メガで耐えるので非メガ鬼火でも大丈夫ですが、HB調整しDに振った個体を愛用していたので即ドヒド引きし、ミミZを切らせてからヤミラミを釣り出す動きをしていました。このように初動の立ち回りこそ不安定ですが、決まれば相手から突破する術がほぼ無くなる構築なのでリスクリターンが見合った行動は積極的に仕掛けていきました(実際は身代わりなどをされてこちらの読みが外れても立て直せる行動をされることも多く、殆ど失敗していませんでした)。
こちらの目指す勝ち筋はヤミラミを突破されなくすることです。例えばヌケニンが役割対象と対面した場合、鬼火を連打することによって出てきたステロ撒きに火傷を入れることができれば、ヤミラミが突破されなくなるので相手からの突破手段が消えます。このようにとにかく相手の勝ち筋を潰し、詰めていく立ち回りが基本となります。
もし、ヤミラミが地震が2発受からない場面で役割が残ったドヒドイデがランドロスなどと対面するなどしても、ヤミヌケの特性を生かして強引に立て直す立ち回りもできます。地震読みでヌケニンに下げ、ヌケニン居座り読みのステロとヤミラミ交代読みの地震の択を迫ることができるので、ほぼ5分の確率でステロ撒きに火傷を入れるかヤミラミと対面させてステロを跳ね返すかできます。このようにヤミヌケ選出は詰ませ性能が高いだけではなく、多少削られても立て直すことができるので、選出さえ噛み合えば非常に強力な選出だと言えます。
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受け回し編
今回想定する並びはヤミヌケドヒド+鋼飛行+特殊受け@1で自由枠は考慮せずに考えます。ラキドヒドムドーといった選出をする場合は通常の受けループと変わらないため、ヤミラミ+ラキドヒドムドーから2匹といった選出をする場合を想定します。ピンヌケニン選出をする場合も基本的な立ち回りは純正受けループと変わらないため省略させてもらいます。ヤミラミは数値が低く、メガ前後で役割が変わってくる場合も多いので、受け回し選出においてヤミラミを選出する場合は役割をはっきりさせて運用する必要があります。
まず、カバやナットカグヤなどに削られることを嫌って選出する場合やガルーラやゲンガーなどを受けるため、ヤミラミで詰ましにいけそうだと判断したときなど、ヤミラミをメガ進化前提で運用する場合を考えます。この場合はメガ進化によるマジックミラーや耐久値の上昇が重要になってくるので、ヤミラミを初手で投げてメガ進化させるのが基本となります。ヤミヌケ選出と違い、メガ進化できないことが負けに直結する訳ではないので無理にすることはありませんが、交代際の状態異常やステロが致命的になる可能性があるので、ヤミラミをサイクルに参加させたい場合はメガ進化しておかなければ厳しいです。反面、この選出をする場合はヤミラミが相手の構築に刺さっているか残りの2匹で受け回せる場合が殆どなので、ヤミラミを丁寧に扱って詰めていくことを意識して立ち回ります。
逆にカミツルギやドリュウズなどに鬼火を入れたり、キノガッサやラティオスなどを誤魔化すために選出する場合は必ずしもメガ進化する必要がなく、むしろメガ進化しないことが有利に働くことも多いため、初手に置かずに裏に控えさせる立ち回りも考えられます。この場合、ヤミラミの単体性能が低いため釣り出しを駆使してヤミラミを役割対象と上手く対面させる、フェアリーを削ってヤミラミが居座れる場を作るなどして補う必要があります。この場合、ヤミラミで鬼火を入れるなどして裏の2匹で詰めるか、ヤミラミの一貫を作って詰ませるかを常に考えて立ち回る必要があります。話が抽象的になりすぎてしまいましたが、こればかりはその場その場で立ち回りをシミュレートして正解を見つけられるようにする、つまり経験を積むしかないと私は感じています。
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メジャーな並びへの立ち回り
この項では私がしていた立ち回りを記載します。考え方に差異が生じるかもしれませんが、一つの考え方として見ていただければ幸いです。
vs
所謂共有パ。一見ヤミラミが刺さってますが、コケコマンダを受けられ、ツルギやガルドにできるだけ隙を見せない選出をする必要があるため、ヤミラミを通すのは案外難しい印象です。ラキグライムドーやハピドヒドムドーで受け回すのが分かりやすいですが、聖剣持ちツルギや怒りコケコなどが面倒です。ヤミラミを出す場合はヤミラミラキムドーのような選出になりガルドが重いため、ヤミラミをD振りにしていればこの選出をすることも視野に入ります。見かけ以上にきつい相手ではありますが、構築相性自体は悪くないので、環境を把握して丁寧に立ち回れば勝率6~7割は維持できると感じます。
vs
よくいるリザグロスの並び。比較的リザードンはYが多い並びですが、リザXを考慮するか否か、ヌケニンがゴーグルを持っているか否かで選出が変わってきます。ゴーグルヌケニンでリザXを考慮しない場合はヤミヌケドヒドで安定します。テテフはめざ炎やシャドボ持ちは拘りが多いため、ヤミヌケドヒド全員に守るトーチカを持たせていればこれで完封できます。しかし、問題はリザXを考慮する場合やヌケニンが襷の場合です。ヌケニンを出さないとコケコグロスやテテフが重いため、ヌケニンを強引に出すか自由枠で対応する必要があり難しいです。カバリザの並びがヤミヌケにプレッシャーをかけてますが、相手の型さえ割れればかなり有利な構築のため、対戦数を重ねて環境を読むことが大事だと言えます。
vs
ヌケニンのおやつその1。ラティクチの並びの炎はスカーフ、レボルトはチョッキであることが多いのでクチート以外から崩される心配があまりなく、襷ヌケニンであればクチートと対面しても鬼火を入れて機能停止させられるので一般的な受け回し以上に有利を取れるといえます。ボルチェンで回されて削られるなどの負け筋も生まれないためクチート軸にはかなり安定します。
vs
ヌケニンのおやつその2。ただ、マンダが物理特殊両方あり得る並びなので、ヤミヌケ選出ではなく、ドヒドムドーにラッキーかヌケニンを出すのが安定します。構築単位でドヒドイデが刺さっているので、受け回しながらコケコを熱湯で削っていけば勝てます。
ヤミヌケで勝ち抜くには
ヤミヌケの感覚は通常の構築とは勿論一般的な受けループとも大きく異なったものとなります。ヤミラミの耐久の低さやヌケニンの役割破壊のされやすさ、全体的に数値とSが低いことによるゴリ押しされやすさと立て直し辛さなどが理由としてあげられます。しかし、ヌケニンの詰ませ性能は魅力的で、有利な構築相手には安定行動で詰められ、ヌケニンの性質を生かしすことにより、立ち回り次第では簡単に崩されない独特の粘り強さもあります。ヤミヌケを扱うコツとしてはめざ炎の有無、ステロの有無を構築段階で見抜くことがあげられます。例えばレヒレなどは構築段階で型をある程度は見分けることができると思います。Cに割いてそうな並びはめざ炎のケアを徹底する、ドヒドなどに役割を分散するなどをすることで出落ちするリスクは格段に抑えられます。ヌケニンへの役割破壊できる技は基本的に構築で重い相手へのピンポメタ気味であるものが多いため、環境や相手の並びからある程度は推測できます。経験を積んで相手の並びから型を絞ることができるか否かによってヌケニンの役割破壊のされやすさ、すなわちヤミヌケの強さが大きく変わってきます。ヤミヌケに使い慣れていないうちは独自の感覚、立ち回りが掴めずに勝てないかもしれませんが、環境を読んで根気良く使い続ければ勝てるようになってくると思います。
後書き
長々と書きましたが、私の知識をできる限り詰め込んだので、ヤミヌケの取っつきにくさを少しでも取り除ければ幸いです。数値の低さから敬遠されがちな構築ですが、上手く扱えるようになるととても面白い構築なので興味がある方は是非使ってみてください。質問や孵化余りの交換の希望などがありましたら @bomber_poke まで気軽にどうぞ。それではよきヤミヌケライフを!